ANOTHER BRICK IN THE WALL

2006年 01月 11日 ( 2 )

ニート支援産業

ニート支援産業

斉藤環の『「負けた」教の信者たち - ニート・ひきこもり社会論 』を読み返していて、気になる点があった。
斉藤と玄田有史の対談の部分のなかで(p231以下)、以下のようなやりとりがある。

斉藤「(ニート対策は:筆者注)最低二年か三年はかけないと結果は出ない。一度就労させたとしても、また辞めてしまう可能性もあるから、フォローアップも必要です。最初の段階でそのあたりにクギをさしておかないと、先細りになってしまうのではないかという懸念があります。

玄田「そうですね。数を目標にするのはかえって危険性がある。じゃあ何を目標にするかといえば難しいですが、極端な話、もし国家予算を使うのであれば、『産業の育成』という名目でもいいのではないか。実際、『ニート支援産業』は将来的にビジネスとして成り立つと思うんです。元ニートがニートを支援するということができたら、いちばんいい。元ニートはニートを支援できるし、寝たきりの高齢者の支援もできる。最初は国家がお金を出すけれど、最後には放っておいても自分たちで何とかできるようになるのが理想かな」

(P246~P247)



具体的な数値目標を挙げるのが危険というのは異論はない、しかし、「ニート支援」をビジネス化するのは、また危険がある。ビジネスとなれば当然、利益を出す必要となる。その顧客となるニート(とその家族)が多くいれば、それだけ利益が上がる。しかしながら、他方でニートを減らすことをその目標をする以上、相容れない目標を抱えることになる。ここで、ニートが減少し始めた時に、それはいいことだとして潔く「店をたたむ」ことができればいい。だが、それでは困るとなって、新たな「ニート」の掘り起こしに向かう可能性もある。また、より多くの利益を求めるためニートもしくはその予備軍を必要とする所も出てくるであろう。



そうなるとどういうことが起きるか。少しでも、働いていない人を「ニート」とか言い出すかもしれない。「あなたもこのままだとニートから抜け出せないことになる。だから、私たちの所に来なさい」と人々の不安を煽って、自分たちの所に来るように仕向けるようにする。こうした不安を煽るやり方は、子どもを持つ親にすでに仕向けられている。たとえば、過去にgendai.netに以下のような記事が掲載された。



ニートになる度”チェックリスト

「良い子ほど危険」と専門家

 学校に行かず、働きもしない無業者「ニート」が増え続けている。内閣府の調べによると、その数は全国で85万人。近年はニートによる“家族殺し”事件まで頻発しているから事態は深刻だ。
「自分の子供はカンケーない」と思っているお父さんは要注意。就職支援会社「ワンバイワン」(東京)社長の鈴木明氏は、「子供がニートになるのは親の無知・無責任が最大の原因。『うちの子は良い子』と思い込んでいる親ほど子供をニートにしてしまう危険性が高いのです」という。
 今回、鈴木氏の経験から、将来ニートになりやすい中高生の“危ない素行”をチェックリストにしてもらった。この機会にわが子の「ニート度」を知っておこう。
 鈴木氏によると、「忍耐力、緊張感のない子はダメ。携帯電話は出会い系サイトやコミュニケーションへの影響から持たせない方がいい」という。ちなみに転校の多い子は、「最近は少人数クラス制なので、友達グループの数が減って輪に入りにくい」とか。
 あなたの子供は大丈夫?

“ニートになる度”チェック
〈該当する項目の□全てにチェック印を付けよ〉
□携帯電話を持っている
□1日1時間も机に向かわない
□家で学校の話をほとんどしない
□3年以上続いている趣味がない
□テレビゲームを長時間することが多い
□嫌なことがあるとその場を放棄しやすい
□おもちゃを次々と買い替える
□ホメられることも叱られることも少ない
□親の仕事の都合で転校が多い
□自分で食器を片付けない
□自室にパソコンがある
□小遣いの額が決まっていない
□日常生活での基本的な挨拶ができない
□家族の団らんが少ない
□ブランド物が大好き
□親に対して友達感覚で付き合う
□反抗期がない、良い子
□1人で遊ぶことが多い
□テレビを見ながら宿題をしている
□異性とのコミュニケーションが苦手

〈あなたの子供がニートになる度〉
16~20個……80%以上の確率でニートになる
11~15個……60%以上の確率でニートになる
6~10個……40%以上の確率でニートになる
5個以下……ニートになる可能性は低い


ニートの子どもを持つ親はいつ殺されかもしれないという不安を煽ったうえ、就職支援会社の人間がどこの家庭の子どもをニートになるかもしれないとさらに不安を煽る。そこに信憑性があるのかどうかわからないチェックリストまでご丁寧にサービスする。不安になった親はこうした会社に「自分の子どもがニートにならないためにはどうしたらいいのでしょう」と暖簾をくぐる。そうして会社は儲ける。こうしたもののほかに、「あなたの子どもがニートにならないために~するといいですよ」といった類の広告も見うけられる。

このようなことを放置すると、ニートとされる人たちや子どもをもつ親が金儲けの道具にされるし、また、親が不必要に不安・神経過敏になり、それが子育てに影響に親子関係が返って悪くなるかもしれない。このように考えるとニート支援のビジネス化には慎重であるべきである。
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by coma79 | 2006-01-11 21:01

教育学者の愚

教育学者の愚

日刊!ニュースな本棚 愛と学問の旅立ち 第24回 メディアと実態の深い溝――広田照幸インタビュー其の二 より


広田
 本当はいろんな形で世間に発信している教育学者たちが、もっと慎重に、現実を踏まえた研究なり考察をしていけばいいんだけどね。僕がやっている教育社会学の場合は、実態のデータを見直して世間に反省をうながすことはできるんだけれども、多くの教育学者はそのノウハウもないし、センスもなかったりするので、世間に流布している思い込みをただ増幅させてしまうんです。つまり、研究の世界と一般の人たちとの世界とを媒介する者が、ステレオタイプを強化してしまうことに、根の深さはあるような気がします。まずできることといえば、媒介者がもう少し現実をリアルに見つめてくれることだと思うんですよね。




悪い例


2005.05.20 産経
■《正論》「ゆとり教育批判」にもゆとりを
学力低下より深刻な人間力低下( 森隆夫 お茶の水女子大学名誉教授)より
 
確かに学力低下は国力低下に連なるが、学力を知育に矮小(わいしょう)化して考えるべきではない。それは人間力の低下と考え、総合的にとらえるべきである。つまり、人間力とは、知徳体の総合力であって、知力に限定すべきではない。

 人間力が低下していることは、働かず学校にも行かない「ニート」の増加にも端的に表れているが、それは無気力者の増加でもある。

 それなのに、学者はニートと片仮名で表現し、新しい学術用語のように使う。それは学者好みかもしれないが、広く国民にその真意を徹底し、ショックを与えない。これを無職、無業者、学習意欲のない者として、ズバリ「無気力者」というべきだと思う。これでは元気のない国民が増えるだけである。

 加えて、少子化ときている。学力低下に無気力者の増加、この三者から、この国の姿が見えてくる。要するに、今日、わが国は少子化(量)とともに劣子化(質)の危機に直面しているわけで、これにどう対処するかが、教育改革の課題でなければならないのである。





2004年11月20日付  読売新聞 「[土曜茶論]奉仕活動の必修化 どう思う 」より

本来自発的に取り組むべき活動を、本人の意思とは無関係に行わせるのは本末転倒ではないか――この1点にほぼ集約された反対意見に真っ向から異論を唱えるのは、お茶の水女子大学名誉教授の森隆夫さん(73)だ。

 森さんには、電車やバスで高校生から席を譲られた経験が1度もない。「精神的にも自立していない子どもたちに自発性が芽生えるのを待つという発想自体に、そもそも無理があるのではないでしょうか」

 森さんは言う。「自己中心的になりがちな今の子どもたちには、社会貢献のできる人間になるよう教え込む必要があると思います」

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by coma79 | 2006-01-11 20:46



「要するにそういうこと(死球)があれば、命をかけてマウンドに走り、そいつを倒したい」by清原
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